市場分析

インドの自動車市場 - 販売台数の推移と今後の予測

赤い自動車

インドの自動車市場を分析しています。2022年の新車販売で日本を抜き世界3位になったインドの自動車市場。その現状をインドの自動車販売台数やシェア、今後の予測などを交えて解説していきます。

インドの自動車業界ってどうなんだろう?

インドの自動車市場の動向

まずはインドの自動車市場の全体像を見ていきます。

インドの自動車販売台数と生産台数の推移

下のグラフはインドの自動車販売台数と生産台数の推移をあらわしたものです。

インドの自動車販売台数は2020年度にかけて減少していましたが、21年度には増加に転じています。全体としてはコロナまで下げ基調でしたが増加に反転しそうな勢いがあります。生産台数も21年度には増加に転じています。

グラフは2021年度までなので直近の動向は分かりません。そこで、直近のインドの自動車市場を調べてみますと、

2022年のインドの自動車販売台数(出所:マークラインズ

  • 11月 27.6万台(+28.1%)
  • 10月 29.1万台(+28.6%)
  • 9月 30.7万台(+92.0%)

直近のインドの自動車販売台数を見ますと、前年同月比では大幅に増加していることが分かります。ただし、同月比では減少傾向にあり、直近ではインドの自動車販売の伸びが鈍化していることが分かります。

インドの自動車市場の現状

インドの自動車市場は中長期的に拡大傾向にあります。

インドの自動車市場は自由化以降の20年間に平均13%の成長、2010年代は5%強の成長を遂げてきました。2017年には自動車販売台数でドイツを抜き世界4位に、2022年にはついに日本を抜き世界3位となりました。中国、米国に次ぐ大きな市場と言えます。

2021年度の自動車メーカー別シェア

  • マルチ・スズキ 43.4%
  • 現代自動車 15.7%
  • タタ・モーターズ 12.2%
  • マヒンドラ&マヒンドラ 7.4%
  • 起亜 6.1%
  • トヨタ・キルロスカ 4.0%

インドの自動車メーカー別シェアでは、マルチ・スズキが40%超のシェアがあり、圧倒的な競争優位性を持っています。

スズキってインドではすごい会社なんだね!

インドではセダン・ハッチバック(HB)と多目的乗用車(MUV)が主に流通しています。HBはインドでは主流の自動車でしたが、近年はそのシェアを6割ほどに下げており、MUVの人気が高まっています。

インドの自動車の主流はガソリン車で、EV車の総販売台数に占める割合はわずか2.5%です。

インドで国内で人気なのがスズキのコンパクトミニバン「イーコ」で価格は約87万円。2022年11月には新型「イーコ」を発売しました。ボディサイズは全長3675mm×全幅1475mm×全高1825mmで、日本でかつて販売されていた「エブリィ」と類似したものです。

インドの自動車市場の今後と予測

インドの自動車市場は今後も拡大していくことが予想されます。

インドの自動車産業が成長する主な背景

  • 自動車の本格普及は1人当たりGDP3,000ドル インドは2,465ドル
  • 自動車を保有する世帯の割合は7.5%
  • インドの年間販売台数は300万台、中国は2,600万台
  • インド政府が製造業を強化する政策を実施中

1人当たりGDPが3,000ドルを超えるとモータリゼーション(自動車の大衆化)が本格化すると言われています。2022年のインドの1人当たりのGDPは2,465ドルですので、まだこの水準には達していません。

さらに、インドで自動車を保有する世帯の割合はわずか7.5%で、インド国内で10世帯に1台も普及していない計算になります。現在のインドの年間販売台数は300万台ですが、同じくらいの人口の中国は2,600万台です。成長の余地は十分にあると言えるでしょう。

近年ではインド政府が「メイク・イン・インディア」政策のもと、製造業の振興を進めています。この政策は製品の売上に対して一定割合の補助金が5年間にわたり製造者に支払われる仕組みで、自動車も対象になっています。

今後、インドは消費と生産の両面で市場の拡大が期待できます。

インドの自動車市場はこれからなんだ!

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